内田 勣・1930年代台湾および日本を中心とした東アジア文化 アーカイブ

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解説文

本アーカイブは、人文地理学者であった内田勣氏(うちだ いさお, 1906-1947)が収集した民族(標本)資料、フィールドノート、新聞や雑誌等の切り抜きのスクラップ、歴史的な文書資料、写真アルバム、論文等の抜刷り、そして、自身が撮影した写真や他の媒体から得た写真のプリントを厚手の台紙に貼り付け、それにメモを付した写真カード等で構成されています。

内田氏は1934(昭和9)年に渡台し、台南第一中学校の地理の教師として教鞭をとりました。そのため、かの地を中心とした論考が多いのも研究上の特徴です。

台南において日常的に見つめていた風景に加えて、登山や離島へ出かける折にはカメラ機を携え、当時の光景を写真におさめました。ここで重要なのは、内田氏が写真のメモを丹念に残しているということです。プリントを厚紙の台紙にはりつけ、余白や裏面に写真の情報を記載しています。自ら撮影した写真については大部分について情報を記載しており、台湾を撮影したものでありかつ内田氏自身が撮影したと判断できる写真は1934年から1940年に至り、これは、内田氏の台湾滞在の期間にほぼ一致しています。

当時の社会の状況を人文地理学者の立場から精確に記録したものであり、台湾の状況が大きく変わっていく時期の様子が丁寧な説明とともに残されているという点において、台湾史研究にある一定の意義や役割を果たすものと考えられます。

アーカイブを基にした研究業績

・ 『南方共筆:輩出承啟的臺南風土描繪特展専刊』国立台湾歴史博物館, 2018