菊沢季生氏(1900-1985)は、国語学の研究者で、東北大学卒業後、日本語学の研究に「位相論」の導入を提唱したほか、代名詞論、音韻論、ローマ字綴りの研究などを進めるとともにエスペラントの普及にも貢献しました。第二次世界大戦後は宮城学院女子大学、同大学停年退職後は、四国学院大学、岐阜女子大学で教鞭を執りながら万葉の訓読についても研究を進めました。また、1961年-1972年まで日本ローマ字会会長を務め、1965年に本部を東京から京都に移す際にも尽力されました。
氏の没後、1990年に、同じ日本ローマ字会会員である縁で、氏の遺稿をまとめた『菊沢季生国語学論集(全5巻)』に序文を寄せた梅棹忠夫氏が当時館長を勤めていた民博に、日記、研究ノート、草稿などが日本ローマ字会を介して夫人から寄贈されました。これら科学的な日本語学研究の資料は、言語人類学の資料としても貴重なものです。
なお、「菊沢季生アーカイブ」を構成する日記、研究ノート、草稿などの現在の著作権継承者は不詳です。そのため民博では目録のオンライン公開と、実物の館内閲覧に限ってサービスを提供しています。著作権継承者についての情報を提供いただける場合は、こちらまでご連絡下さい。