岩本 公夫 アーカイブ

目録情報へ

解説文

岩本公夫アーカイブは、同氏が北京語言文化大学に留学していた折りに撮影を行った「門礅(メンドン)」の写真等より構成されます。「門礅」については、岩本氏の言葉を借りましょう。

「門礅は、四合院と呼ばれる北京の伝統的な住宅の正門の前に置かれた石材で、観音開きの門の扉を留め支えるものです。現在北京に残るのは、ほとんどが明や清の時代のものですが、古くははるか漢(紀元前206年~西暦220年)にまで遡るといわれています。刻まれた図案には人々の願いが託されており、例えばコウモリと銭をあしらった図案は”福在眼前”と呼ばれ、同じ諧音とかけた吉祥のデザインとして中国人に親しまれています。また、「文化大革命」中に傷つけられた門礅も少なくなく、現在に激動の時代の痕跡を残しています。」

岩本氏は、定年前にご夫婦で留学(1995年-98年)を決意され、その折り偶然見つけた「門礅」の美しさに魅了され、今日まで研究を続けておられます。その成果は『北京門礅』(北京語言文化大学出版社、1998年12月)としてまとめられ、開発で失われてゆく貴重な文化遺産の記録として高く評価されています。本アーカイブは、この出版に使用された写真が数多く含まれています。